茶の湯日記10月

不傳庵 茶の湯日記 

夏を終えて

遠州茶道宗家十三世家元 小堀 宗実 

 ようやく10月を迎えるころと相成った。今年ほど暑く(もはや“熱く”のほうが表現的には近いかもしれない)、厳しい夏が私たちに襲い掛かってきたことがあっただろうか。史上初めてのことであろう。熱中症という言葉も耳にして久しいが、入院された方、あるいは不幸にして亡くなられた方の多さも、いまだかつてなかったと思う。

 一方、毎回のようにここで書いている自然災害では、日を追うごとに多大なる被害や、死傷者を出している。これらのできごとに、つねに対処するのは自衛隊であり、またボランティアの方たちである。特に今夏の救援活動は、酷暑との戦いのなか、時間とも戦っていくという、非常に厳しい活動であったろう。その場にいない私たちのような人間にとっては、彼らの崇高な姿勢に、もっと敬意を示さねばならないと思う。と同時に、その活動についてもっと積極的に知るべきであろう。そういう情報や知識をもたずに、傍観している日本人も、最近は多くなっているのではないか。個人個人の生活観や、人生観は、過去の日本に比べてはるかに自由度が高くなっている。その一方で、隣人や周辺の人との関係が希薄になり、関心をもたないということが増えている。さらには、自分自身に関係ないことには、関わらないでおこうという考え方が蔓延しているような気がしてならない。いよいよ平成から新たな時代へ進み始めようとしているいま、私たちがもう一度考えることは、浮かれた気分ではなく、しっかりと自分自身を含め、学校や地域、国といったことを大局的に生真面目に見つめることである。

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さて茶の湯の世界ではいよいよ本格的な秋を迎え、名残、月見などのテーマのもと多くの茶会が催されることになる。遠州流茶道全国大会も、本年は東京支部の担当で行われる。茶会の席主に関して、いままでの大会にはなかった新しい試みが行われると聞いているので、どのようになるか、楽しみにしている。

 茶の湯の本道は、創意工夫の繰り返しである。そのなかで大切なものは、人と人、人と物、物と物の調和である。この気持ちをもって、本年の残りを過ごしてゆきたいものである。