茶の湯日記

不傳庵 茶の湯日記 

改元も近づいて

遠州茶道宗家十三世家元 小堀 宗実 

 四月に入るころには、日本中が桜の開花に一喜一憂するものである。毎年の事とはいえ、春の心はのどかにはならないものと古歌にも詠まれているのには感心させられる。

 最近の、桜の名所といわれる全国各地においては、花を愛で、季節の移ろいを桜の花の一ひらに感じるという情緒よりも、とにかく集まろう、観ましょうという様子の人々が多くなったと感じている。日本人だけでなく、海外からの観光客が増加し、観光地に目白押しで大挙して訪れる。そこでは文化の違い、楽しみ方の違い、考え方の違いによるトラブルも少なくない。よくニュースなどで取り上げられているが、例えば富士山への登山についても、Tシャツやサンダル履きなどの軽装で登山し、結局のところ救助の方々のお世話になるという話が後を絶たない。また、富士の湧水で有名な忍野八海においては、水中にコインを投げ入れる観光客によって、水質が急に低下しているということである。お寺や神社の建物に落書きをするといったことも最近では急増している。このあたり、観光立国を標榜しているわが日本としては、どう考えるべきなのだろうか。観光立国という意味を、単純に何百万人が訪れることと考えているのは政治家や行政自治体の悪いところである。本来はその国の文化や伝統、習慣を正しく伝え、理解していただくということで国が立つということになるのではないだろうか。どうも、その点について日本という国は脇が甘いとしか言えないと思う。

 杓子定規にすれば良いというものではないけれど、やはり、すべて物事を学んだり、楽しんだり、遊んだりするには、ルールというものがある。一方で、これほど甘い対応をしているのに、コンプライアンスとかいうものには、とても厳しい事を言うのも国である。しかしこれとて、私たち国民にとって、必ずしも暮らしやすいものではなく、ともすればお役所仕事的な視点での法令遵守ばかりが目についてしまう。

 今月はいよいよ平成最後の月でもある。私たちはもっと危機感をもって、誠実な態度で新しい御代を迎えたいものである。